ゆう(@yu_kabu_life)です。
5月16日、エヌビディアは2020年度 第1四半期(2-4月期)の決算を発表しました。
決算内容は良かったです。
ところが決算発表後の時間外取引では株価急騰したものの、翌日の通常取引では逆に反落してしまいました。
僕もエヌビディア株を保有していますので、エヌビディアの決算内容と財務情報の最新情報を整理しておきたいと思います。
それでは、以下ご覧ください。
目次
【NVDA】エヌビディア(NVIDIA)の基本情報
- 決算発表日:2019年5月16日
- 決算期:2020年度 第1四半期(2-4月期)
- セクター:情報技術
- ティッカーシンボル:NVDA
- 企業名:エヌビディア(NVIDIA)
- 本社:カリフォルニア州
- 従業員:<18.1>11,528名
- 創業:1993年
- 上場:1999年1月
- 上場市場:NasdaqGS
- 決算月:1月
- S&P格付:BBB+
- 時価総額:<2019.2.13>932.3億ドル→<2019.5.19>952.5億ドル
- 予想配当利回り:0.35%
- 企業概要:コンピュータのグラフィックス処理のGPU世界大手。GeForce、Tegraが主力、並列計算処理が得意。ターゲット領域は「ゲーミング」「ビジュアル」「データセンター」「自動運転」「OEM・知財」。
エヌビディア決算:売上高○、EPS○、ガイダンス○
まず売上高、EPSの結果を確認していきます。
売上高とEPSの予想と結果
表1は2020年度 第1四半期決算のアナリスト予想と結果をまとめたものです。
(表1)<NVDA財務情報より作成>売上高とEPSのアナリスト予想と実績
- 売上高の2020年度1Q実績は、予想22.0億ドルに対して、22.2億ドルでした。
- 売上高の2020年度2Qガイダンスは、予想25.4億ドルに対して、25.5億ドル前後2%(24.99~26.01億ドル)が提示されました。
- EPSの2020年度1Q結果は、予想0.79ドルに対して、0.88ドルでした。
実績・ガイダンスともに市場予想を無事クリアしてきましたね。
売上高とEPSの前期比と前年同期比
表2は売上高とEPSの前期比・前年同期比です。
(表2)<NVDA財務情報より作成>売上高とEPSの前期比と前年同期比
- 売上高の前期比は、前期22.05億ドルに対して、100.7%でした。
- 売上高の前年同期比は、前年同期32.07億ドルに対して、69.2%でした。
- EPS の前期比は、前期0.8ドルに対して、110.0%でした。
- EPS の前年同期比は、前期2.05ドルに対して、42.9%でした。
売上高とEPSの四半期推移
図1では、2017年度1Qから四半期ごとの売上高とEPSをまとめました。
(図1)<NVDA財務情報より作成>13四半期業績推移
前回4Q決算と同様に、「売上高:2018年度2Qと同水準」「EPS:2018年度1Qと同水準」で業績推移していることが分かりますね。
エヌビディア(NVDA)の株価
図2のチャートはNVDAの株価推移を日足で表示しています。
(図2)エヌビディア(NVDA)の日足チャート(2018年9月以降)
決算発表を受けて、主力事業であるゲーミングの業績が回復傾向であることが好感されて、5月16日大引け後の時間外取引では一時+7%と急騰しました。
ところがタイミングの悪いことに、決算発表直後に米政府から中国大手ファーウェイを輸出管理規則に基づく禁輸措置対象のエンティティ・リストに入れたことが発表され、急騰ムードは一気に吹き飛んでしまいました。
翌5月17日の取引では逆に-2.28%と反落する展開となっています。
エンティティ・リストに入ることによって、ファーウェイに米国製品や技術を販売することが禁止となります。
どうも報道を見ているとエヌビディアも直接的な影響を受ける可能性があるようですね。
図3は、もう少し期間を広げて2017年からの株価推移を示しています。
(図3)エヌビディア(NVDA)の日足チャート(2017年1月以降)
株価の推移を見ると、2018年度2Q(2017年5月-7月)水準の業績は完全に織り込み済みでした。
そして半導体メラノックス買収を契機にデータセンター事業が成長加速することが期待されて2018年度2Q水準のレンジを上抜けしていったものの、他社の決算内容からIT設備投資が減退していることが明らかとなり軟調な地合いになっていきました。
そこに来て米中貿易交渉の難航が伝わると下げを加速し、再び2018年度2Q水準のレンジに戻ったというのが決算発表前までの状況かと思います。
現状、5月10日に対中輸入品への追加関税が発動済、ファーウェイへの制裁措置、そして残る3,000億円に対しても追加関税が予告されています。
このまま米中貿易戦争が激化の一途を進めば、中国経済の成長が一段と失速するでしょう。まだまだエヌビディアの業績にとって楽ではない展開が続きそうです。
セグメント別の売上高
エヌビディアの売上高をセグメント別に見ていきます。
エヌビディアのセグメント構成比率
(図4)<エヌビディア財務情報から作成>2020年度1Qセグメント構成比率
ゲーミングとデータセンターの二本柱ですね。
図5はセグメント構成比率の四半期ごとの推移を示しています。
(図5)<エヌビディア財務情報から作成>セグメント構成比率の四半期推移
ゲーミングの構成比率が再び拡大していますね。
セグメント別の売上高(四半期推移)
図6は2015年度1Q~2020年度1Qのセグメント別ごとに売上高の四半期推移をまとめたものです。
(図6)<エヌビディア財務情報から作成>セグメント別の売上高(四半期推移)
エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは決算発表にて「ゲーミング事業の業績は回復基調に戻った」とコメントしました。その言葉どおりであれば、確かに1,000億ドルで底打ちしたということになりますね。
しかし、その発言直後に起きた貿易戦争激化については織り込まれていないでしょうから予断は許さないと思います。1,000億ドルを割りこみにいく展開にならないと良いのですけれど。
そして気になるところはデータセンター事業の減速が止まらない点ですね。3Qの売上と比較すると、ざっくり約200億ドルほどの売上が無くなっています。
僕の希望としては、データセンター事業が伸びてゲーミング事業が悪化する方が好ましいのですけれど、逆になってしまいました。残念です。
図7はセグメントごとの売上高成長率(前年同期比)の四半期推移です。
(図7)<エヌビディア財務情報から作成>セグメント別の売上高成長率(四半期推移)
図7からはデータセンター事業の成長率が年々減速していっていることが分かります。失速が止まりません。とうとうマイナス成長まで割り込んでしまいました。
データセンター事業のテコ入れとなりうる半導体メラノックの買収については、2019年末までに全株式取得を完了させるとのコメントがありました。メラノックス買収による相乗効果が期待できるのは来年2020年以降でしょうか。
エリア別の売上高
エヌビディアの売上高をエリア別に見ていきます。
エヌビディアの地域別構成比率
図8は2020年度1Q時点の地域別構成比率です。
(図8)<エヌビディア財務情報から作成>2020年度1Q地域別構成比率
台湾、中国、その他アジアで75%ほどを占めています。
図9は売上高の地域別構成比率の四半期推移をまとめました。
(図9)<エヌビディア財務情報から作成>地域別構成比率の四半期推移
特に米国の割合が小さくなっている点が目につきます。
地域別の売上高(四半期推移)
図10は地域別の売上高の四半期推移をまとめたものです。
(図10)<エヌビディア財務情報から作成>地域別の売上高(四半期推移)
先ほどのセグメント別の推移と合わせて考えると、ゲーミング事業の回復に大きく寄与している地域は台湾・その他アジアの可能性が高そうです。
米国は3Qから比較して200億ドル以上の売上高が飛んでいますので、データセンターの需要減速がモロに米国を直撃しているように思えます。
個人的にはアジアに依存している現状を好ましく思っていませんので、米国内の売上を伸ばしてほしいですね。
そして中国も減速が止まっていません。対中売上の占める割合が大きいため米中貿易戦争の影響は軽視できませんね。今後も注視が必要です。
図11は地域ごとの売上高成長率(前年同期比)の四半期推移です。
(図11)<エヌビディア財務情報から作成>地域別の売上高成長率(四半期推移)
データセンターシェアは、米国が40%で1位
図12は2019年1月に発表された世界におけるデータセンターの設置数シェアです。
(図12)2019年1月時点データセンター設置数シェア
これを見れば、データセンター売上低下=米国売上低下となるのも頷けます。
ファンダメンタルズ
2010年度~2019年度の収益性と財務状況を掲載しておきます。
売上高・営業キャッシュフロー・純利益
ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は2019年度を、「過去最高を記録した1年だったが、終わり方は残念だった」と振り返りました。
各種キャッシュフロー
このフリーキャッシュフローをメラノックス買収の一手に賭けたということですね。
株価、PER、PBR
PERは2018年度51.0倍から2019年度21.7倍と大幅に下がりました。これは2015年度以前の水準です。
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