ゆう(@yu_kabu_life)です。
今回は、S&P500指数の過去150年間の歴史と仮想通貨バブル崩壊の事例を交えながら、相場の過熱感が分かる対数チャートの見方をお伝えします。
S&P500指数は米国大型株の動向を表す株価指数
まずS&P500指数をご存知ない方のためにも簡単にご説明します。
S&P500(Standard&Poor's500)は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスにより1957年3月4日に公開されました。1941年から1943年の平均を10として算出されています。
米国の主要産業を代表する500社により構成され、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。
2019年3月17日時点、S&P500をベンチマークとする運用資産の総額は9兆9千億ドル(約1,108兆円)を超え、S&P500連動の金融商品は3兆4千億ドル(約380兆円)に及びます。
世界で最も運用資産額の大きいETFであるSPY(SPDR S&P500ETF)も、S&P500連動型となっていて、SPY単独で30兆円を超える資産規模を誇ります。
GDP世界第三位の経済大国である日本の2019年度国家予算案が約101兆円ですから、とてつもない資産規模であることが分かりますね。
S&P500を構成する銘柄のTOP10はこちらです。(2019年3月17日時点)
銘柄 | ティッカー | 業種 |
Microsoft Corp | MSFT | Information Technology |
Apple Inc. | AAPL | Information Technology |
Amazon.com Inc | AMZN | Consumer Discretionary |
Berkshire Hathaway B | BRK.B | Financials |
Facebook Inc A | FB | Communication Services |
Johnson & Johnson | JNJ | Health Care |
JP Morgan Chase & Co | JPM | Financials |
Alphabet Inc C | GOOG | Communication Services |
Alphabet Inc A | GOOGL | Communication Services |
Exxon Mobil Corp | XOM | Energy |
下図はセクター別内訳です。
<出所>S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスHPより
【通常チャート】S&P500の過去150年とビットコインバブル
下図は1871年2月1日の4.5ポイントを開始として、2019年3月17日現在までの株価を表したS&P500指数の月足チャートです。
このチャートを眺めると1970年代までは、ほぼ平坦の線になっていて動きがあったのかどうかよく分かりませんね。
1980年代頃から傾きが出てきて、2010年代以降は急角度で値上がりしています。まるでバブルが過熱しているようにも見えます。
下図は記憶に新しいバブル崩壊を演じたビットコインのチャートです。
このチャートを見ても、2016年あたりまで平坦な線を形成していて動きがあったのかよく分かりません。
2017年10月頃から急激な上昇が始まって、2017年末にバブルが弾けた後は下がり過ぎているようにも見えます。
対数チャートで相場の過熱感が分かる
実は、相場の動きや過熱感は通常のチャートを見ていても正しく把握することはできません。
下表をご覧ください。理解しやすいようにサンプルデータを用意しました。
サンブルデータ | データA | データB | ||
株価 | 前日比 | 株価 | 前日比 | |
2999/1/1 | 1.0 | - | 1.0 | - |
2999/1/2 | 2.0 | 200% | 1.05 | 105% |
2999/1/3 | 3.0 | 150% | 1.10 | 105% |
2999/1/4 | 4.0 | 133% | 1.16 | 105% |
2999/1/5 | 5.0 | 125% | 1.22 | 105% |
2999/1/6 | 6.0 | 120% | 1.28 | 105% |
2999/1/7 | 7.0 | 117% | 1.34 | 105% |
データA、データBともに株価1.0からスタートになっています。
- データA
毎日1.0ずつ値上がりしていきます。
1日目は「1.0+1.0=2.0」で+100%、2日目は「2.0+1.0=3.0」と+50%というように、徐々に上昇率は低下していきます。 - データB
毎日+5%づつ一定の割合で上昇していきます。
1日目は「1.0×105%=1.05」、2日目は「1.1×105%=1.10」というように、上昇率は一定です。
この株価を通常目にするチャートで表現すると下図になります。
データAは一定の角度で上昇していますが、データBは後半になるにつれて急上昇していてまるでバブルのように見えます。
この図を対数で表すと以下の図になります。
今度は逆にデータAが急上昇した後に失速し、データBは一定の割合で上昇しています。
実際に、データBは毎日+5%と一定割合で上昇していますので、相場は過熱していません。
対数チャートで見た方が正しく相場感を把握できるということです。
今度は、+5%づつ上昇し、ある日を境に-5%づつ下落するチャートを用意しました。
一見するとバブルに見えますね。
これを対数チャートで表すと下図のようになります。
実際には一定の動きをしていることが対数チャートだとよく分かりますね。
【対数チャート】S&P500の過去150年とビットコインバブル
では、対数チャートで先ほどのS&P500の過去150年とビットコインバブルを表してみます。
下図はS&P500の過去150年チャートを対数で表したものです。
まるで平坦な線にみえた1970年代までの100年間にも、ドラスティックな値動きがあったことが見てとれます。
そして、1928年になるとレンジを飛びぬけて相場が急激に過熱した後、大暴落を起こしています。これが歴史に名を刻むことになった世界恐慌です。
次に2000年に発生したITバブル崩壊でも大きくレンジを上抜けしていたことが分かります。歴史的なレンジから逸脱いる状態でしたので、対数チャートで見ていれば非常に危険な状態であることが分かったはずです。
2008年のリーマンショック以降、長期上昇相場を経て通常チャートでは高値圏にあるように見えましたけれど、対数チャートで見るとそこまで相場は加熱していないことが分かります。
では、ビットコインバブルも対数チャートで見てみます。
2017年5月あたりで急激に過熱していることがよく分かります。
対数チャートで相場感を把握していれば、とても相場に乗れる状況ではありませんでした。
そして、2019年3月17日現在、元のレンジ内に戻っていることが分かります。
通常のチャートでは一見するとバブル崩壊によって下落しすぎているように見えましたが、実は適正な価格レンジに収れんしているということが分かります。
*
いかがでしたでしょうか。
今回は「対数チャートで相場感が分かる」ことをお伝えしました。
S&P500は150年の超長期チャートを一括りで見てきましたけれど、期間を短く区切って見ると相場の過熱感がもっとよく分かると思います。
皆さんもぜひ対数チャートで相場感を確認されてみてください。
例えばヤフーファイナンス(https://stocks.finance.yahoo.co.jp/)なら、スケールを選択することで簡単に対数チャートを表示できます。
エクセルでチャートを作成する場合は、縦軸を選択して書式設定から「対数目盛を表示する」にチェックを入れるだけで対数チャートにできます。
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