ゆう(@yu_kabu_life)です。
日本経済新聞の報道によると、「株主に自社製品や金券などを贈る株主優待制度が広がっている。導入数は今年1月末で1500銘柄を超え過去最多。上場銘柄全体の4割近くに達する。」とのこと。
日本では株式投資を始めるキッカケとして、株主優待制度がますます注目を集めています。
株式投資の動機は「株主優待と資産形成」が上位
日本証券業協会が20歳以上の証券保有者5,000人を対象にインターネット調査結果を行いました。
下表は「投資について検討したり、興味・関心を持ったきっかけ」のアンケート結果です。
<出所>個人投資家の証券投資に関する意識調査(平成30年10月1日)
上位2位に「株主優待があることを知ったから」がランクインしていることから、株式投資の判断に株主優待が大きな影響を与える要素になっています。
他にも1位が「今の収入を増やしたいと思ったから」、3位は「将来の生活に不安があり、必要性を感じた」となっています。
加えて、株式保有額で最も多い金額帯は「100万円~300万円」であったことも踏まえると、将来に向けた資産形成の一環として株式投資していることが推察されます。
実は株主優待制度というものは海外では導入例が多くありません。ではなぜ日本ではこれほど浸透しているのかというと、それには日本株式市場の特性が無関係ではありません。
株主優待券狙いと資産形成は両立できるのか
人気サイト「みんなの株式」に株主優待人気ランキングというものがありましたので、絶賛大人気のベスト3企業を引用してきました。
- 1位:KDDI(9433 東証1部) 優待利回り1.15%、配当利回り3.50%
- 2位:オリックス(8591 東証1部) 優待利回り---、配当利回り4.17%
- 3位:味の素(2802 東証1部) 優待利回り0.59%、配当利回り1.95%
何れも東証1部上場の堅そうな企業ですね。
これらの企業に投資することによって資産形成できると思って投資している人が多いのだと思いますが、果たして上手く行くでしょうか?
それぞれ過去30年の長期チャートを見てみます。分かりやすく高値と安値のおおよそ中央に赤線を引いてみました。
下図はKDDIです。
下図はオリックスです。
下図は味の素です。
どの企業も大半の期間が上下を行ったり来たり繰り返していますね。
いくら株主優待や配当金を貰ったとしても、キャピタルゲインがマイナスリターンになってしまえば元も子もありません。配当金を再投資しようにも、株主優待では現金ではありませんから再投資することもできませんね。
たまたま取り上げた人気ベスト3の企業がこのような結果になっているだけかというと、そういう訳でもありません。
日経平均株価の過去35年の長期チャートを見てみましょう。
日経平均とは日本経済新聞の選定による日本を代表する225社からなる指数です。そんな日経平均自体が上下に行ったり来たりしています。
これでは日経平均に長期投資しても高い確率で報われませんので、将来に備えて資産形成することなど夢物語ですね。
なぜ証券会社は株主優待券を勧めるのか
資産形成の基本は、分散投資・長期投資です。GOOGL検索に「株式投資」と入力して上から順に眺めていくと、ほとんどのサイトで「分散投資・長期投資は大事ですよ」ということが説明されています。
ところが、おかしなことに、ほとんどのサイトで日本株式市場への投資を前提とした解説がされていて海外市場について語られません。
「分散投資が大事ですよ」と言うのであれば全世界への分散投資を説明したり、「長期投資した方が良いですよ」と言うならば長期的に有望な株式市場はどこか解説していなければ不自然ですよね。しかし、そのことには一切触れていないサイトが多いのです。
世界で最も運用資産額の大きいETFといえばS&P500指数に連動するSPY(資産規模30兆円以上)です。SPYの過去35年チャートを確認してみます。
2000年のITバブル崩壊と2008年のリーマンショックの大暴落の期間を含んでいますが、どの時期から保有したとしても一時的な損失はあれど安定した値上がりが期待できます。
そして、これはもっと古くまでS&P500指数の歴史を遡っても同じことです。
このような優良ETFには一度投資してしまえば売買する必要がありません。
証券会社からすればSPYのような優良ETFに投資されてしまうと高額な金融商品で手数料を稼げなくなりますので、海外株式やETFを紹介する道理がありません。
株主優待券を前面に押し出して国内株投資を勧めるのには、そういった証券会社の収益構造が背景にあります。
その結果が下図です。
<出所>個人投資家の証券投資に関する意識調査(平成30年10月1日)
実に96.4%もの人が国内株に投資していますね。
本当に資産形成が必要なのであれば日本株だけに固執して資産と時間を浪費している場合ではありません。
有望な海外市場への投資を視野に入れることをお勧めします。今は海外の投資信託が沢山ありますね。
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