ゆうです。
2月7日、Twitter(ツイッター)が、2018年度第4四半期の本決算を発表しました。
決算内容は良かったです。
ところが決算発表後の2月7日、前日比-9.8%(30.8ドル)と株価は暴落しました。翌8日も続落し、決算発表前の-12.2%安にあたる30.01ドルをつけています。
それでは、以下ご覧ください。
目次
基本情報:ツイッター(Twitter)
- 決算発表日:2019年2月7日
- 決算期:2018年度第4四半期
- セクター:ソフトウェアサービス
- ティッカーシンボル:TWTR
- 企業名:ツイッター(Twitter)
- 本社:カリフォルニア州
- 従業員:<17.3>3,372名
- 創業:2006年
- 上場:2013年11月
- 上場市場:NYSE
- 決算月:12月
- S&P格付:BB-
- 時価総額:<2019.2>228.45億ドル
- 配当利回り:<2019.2>0.0%
- 企業概要:ソーシャルネット大手。短文を投稿する独自サービス。米国外過半、日本大きい。SNS間でユーザー獲得争い熾烈。2015年10月にはジャック・ドーシーCEO就任。幹部刷新、人員削減など経営改革。スパムアカウント削除。2018年6月スパイト買収公表。
ツイッター決算:売上高○、EPS○、ガイダンス○
下表は2018年度第4四半期決算のアナリスト予想と結果をまとめたものです。
【売上高】
- 2018年度4Qの結果は、予想8.69億ドルに対して、9.08億ドルでした。
- 2018年度通期の結果は、予想30億ドルに対して、30.42億ドルでした。
- 2019年度1Qガイダンスは、予想7.62億ドルに対して、7.15~7.75億ドルが提示されました。
【EPS】
- 2018年度4Qの結果は、予想0.25ドルに対して、0.31ドルでした。
- 2018年度通期の結果は、予想0.8ドルに対して、0.86ドルでした。
4Q実績と1Qガイダンスをクリアしましたので、今回2018年度4Qは「決算成功」と評価できます。
ツイッター決算:前期比○、前年同期比○
下表は売上高とEPSの前期比・前年比です。
【売上高】
- 2018年度4Qの前期比は、前期7.58億ドルに対して、+19.8%でした。
- 2018年度4Qの前年同期比は、前年同期7.31億ドルに対して、+24.2%でした。
下図は上場直後の2014年以降の四半期ごとの業績推移です。
2013年の上場以降いつまでもたっても営業赤字が改善しない中で、売上高の対前年成長率も下降の一途を辿りました。2017年にはマイナス成長に達したことで投資家は失意のどん底に落ちました。株価は上場来高値から-81%安の大暴落を喫しています。
2015年にはジャック・ドーシーが同社CEOに着任しました。のちに2017年最高のCEOと呼ばれることになります。ジャックCEOが経営改革を断行した結果、2017年3Qには営業黒字化を果たしました。今回決算にて4四半期連続で+20%超の売上成長を実現しました。
2019年1Qの決算は、前年同期の高成長を上回ることができるのかが注目されます。
ツイッター決算:決算発表後の株価推移
以下のチャートはTWTRの直近の株価推移です。
決算発表前から比べて-12.2%安と暴落しています。100日移動平均線を超えて下げてきましたが、まだ年初来では+4.2%高の水準です。
これは2019年1Qの営業利益が500万ドル~3500万ドルに留まる見通しであることが嫌気されたためです。4Qの営業利益は2億700万ドルでしたから、ほぼ10分の1です。
なぜ営業利益が減少するのでしょうか?
そもそも昨年2018年の夏、ツイッターは全世界的に蔓延していた偽アカウントを大規模に削除することを公表しました。その後、実際に数千万のアカウントが消えました。トランプ大統領のアカウントからは34万人のフォロワーが消えたことも話題となりましたし、日本でも多数のフォロワーを持つアカウントが削除されるといったことがありました。
このような大規模なサービス改善に取り組むということは、人手が必要になりますので人件費がかさみます。2019年の営業コストは前年比で約20%増加するとの見通しが示されました。加えてサービス向上のために設備投資も行う予定であることから、営業利益が減少する見通しとなっています。
とはいえ、偽アカウントが蔓延するゴミ溜めのような空間状態がいつまでも続けばユーザーが離れていくことは必至でした。SNSは周りが使っているから自分も使うという連鎖的な側面が大きいです。SNS業界のユーザー獲得争いが苛烈さを増していく中で、ひとたびユーザーの離反が始まると加速度的にユーザー減少していくことになりますので、長期的にみれば良策と言えます。
近視眼的な営業利益の減少というネガティブサプライズと、長期視点でみたポジティブな経営方針のせめぎあいで、しばらく100日移動平均線付近の攻防となりそうです。
ツイッター決算:セグメント別(売上高)
TWTRの業績をセグメント別に分解して見ていきます。
TWTRのセグメント構成
広告の売上高が86.1%を占めています。
セグメント別の売上高(四半期推移)
- 広告の前年比は、前年6.44億ドルに対して、+22.8%の7.91億ドルでした。
- データ他の前年比は、前年0.87億ドルに対して、+34.5%の1.17億ドルでした。
セグメント別の売上高(年次推移)
- 広告の前年比は、前年21.09億ドルに対して、+24.1%の26.17億ドルでした。
- データ他の前年比は、前年3.33億ドルに対して、+27.3%の4.24億ドルでした。
全セグメントで高成長を達成していることが分かります。ツイッター社は動画コンテンツの推進に注力していて、広告収入の半分以上を動画事業が占めています。
ツイッター決算:エリア別(売上高)
TWTRの業績をエリア別に分解して見ていきます。
TWTRのエリア別構成
米国が過半を占めています。海外には日本が売上16.7%が含まれています。日本はツイッター社の主要なマーケットの一つです。
エリア別の売上高(四半期推移)
- 米国の前年比は、前年4.06億ドルに対して、+24.6%の5.06億ドルでした。
- 海外の前年比は、前年3.25億ドルに対して、+24.0%の4.03億ドルでした。
米国内の業績低迷が劇的に改善されていることが分かります。
エリア別の売上高(年次推移)
- 米国の前年比は、前年14.14億ドルに対して、+16.1%の16.42億ドルでした。
- 海外の前年比は、前年10.3億ドルに対して、+35.9%の14億ドルでした。
2018年度は海外エリアの成長が売り上げを牽引していますが、米国内も前年が-9.6%成長だったことを考えれば大幅に成長加速しています。
ツイッター決算:MAU
下図は「MAU(月間アクティブユーザー数)」の推移です。
ツイッターのMAUは3.21億人でした。SNS競合では、Facebookが22.5億人、Instagramガ10億人、Snapchatが3.8億人、LINEが2.8億人です。日本ではLINEに並んでメジャーなSNSです。
ツイッターのMAUは2四半期連続で減少傾向となりました。これは前述したとおりゴミアカウントの大掃除を行っているためであり、事前にジャック・ドーバーCEOからも同取り組みによるユーザー減少がアナウンスされていました。
ツイッター決算:mDAU
今回の決算で初めて「mDAU(収益化可能な1日あたりアクティブユーザー)」の推移が開示されました。これはツイッター上で広告を見たユーザーという意味です。
ツイッターのmDAUは1.26億人でした。SNS競合では、Facebookが15.2億人、Snapchatが1.86億人です。Snapchatよりも6000万人も少なく、MAUに対するmDAUの割合が低いことが分かりました。まだまだ収益性の向上余地がありそうです。
ファンダメンタルズ分析 ~過去5年の財務諸表から~
2014年度~2018年度の財務諸表から収益性と財務状況を確認していきます。まだ2018年の財務データが開示されていないため一部データは2017年までの推移になっています。
【成績表】損益計算書(PL)
ジャックCEOのまいた種が収穫の時期を迎えました。2018年は純利益が12億ドル以上となり、2013年に上場してから初めて純利益ベースで黒字化しました。売上高は+25%、営業キャッシュフローも5億ドル増えています。
2019年はこの成長を軌道に乗せつつ、更なる成長のためにどんな打ち手を続けていくのか注目です。
【収益性】ROE・ROA・PBR・EPS
【資金繰り】キャッシュフロー計算書(C/F)
営業キャッシュフローが5億ドル増え、次の成長のために3.2億ドルを投資していることが分かります。フリーキャッシュフローも1.8億ドル増加しました。
【健康診断】貸借対照表(BS)
流動資産も多いですし、自己資本比率も68%と高いので問題なさそうです。
【割安性】株価推移・PER・PBR
【過去実績】保有期間リターン
2014年1月~2019年1月の期間における保有期間ごとのリターンは以下のとおりです。
平均 | 最大 | 最低 | |
1年 | -8.34% | 47.30% | -43.64% |
3年 | -13.84% | 7.49% | -36.50% |
5年 | -14.70% | -14.70% | -14.70% |
ツイッター決算の感想
日本では利用者が多く馴染みのあるSNSです。僕も利用していますので、フォローいただけると嬉しいです。Follow @yu_kabu_life
ツイッター社の経営状態はというと長い暗黒時代が続いていました。ジャック・ドーシーCEOの経営手腕のもと、今いるユーザーから収益化することに成功したのが2018年でした。
2019年は、まず2018年に叩きだした売上高を上回っていけるのか見極める必要がありそうです。そして競合他社に比べて収益化が進んでいないことが明らかになりましたので、その点も改善できるか注目です。
ユーザー数が頭打ちになってしまえば業績を伸ばすにも限界がありますので、どれだけツイッターを魅力的なコミュニティツールに出来るかということが重要なカギを握っているように思います。そのためのゴミアカウント大掃除であり、ユーザビリティ向上のための設備投資であるわけですけれど、果たしてそれがユーザー数増加にどれだけ効果が出るか未知数です。
これまでのツイッター社は大半の期間に渡って株主に不利益を提供してきましたが、ジャック・ドーシーCEOを信じた投資家は報われる結果となりました。今はまだ成長が安定軌道に乗ったことを確信できる段階にはないように見えます。
そういった観測から200日移動平均線を境に調整しているのではないでしょうか。ジャックCEOの手腕を信じるなら、今のうちが買い場かもしれません。
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