ゆうです。
米インテルが第4四半期(12月期)の決算を発表しました。
決算内容は悪かったです。株価は一時-8%安と急落しました。また、半導体関連の先行きに不安が広がり、フィラデルフィア半導体株指数に連動するETFは-1.6%下げました。
主な原因はデータセンター事業の成長率が急速に減退したことによります。インテルのボブ・スワン最高財務責任者(CFO)はインタビューで、データセンター事業の減速要因は「大手テクノロジー企業の需要減退」と「中国需要の軟化」であると説明しました。
それでは、以下ご覧ください。
インテル(INTC):4Q決算、売上高× EPS○ ガイダンス×
- 決算発表日:2019/01/24
- 決算期:2018年度 第4四半期決算
- 企業名:インテルコーポレーション(Intel Corp)
- ティッカーシンボル:INTC
下表をご覧ください。2018年度4Q決算のアナリスト予想と結果をまとめたものです。
- 売上高
2018年度4Qの結果は、予想190億100万ドルに対して、187億ドルでした。
2018年度通期の結果は、予想712億ドルに対して、708億ドルでした。
2019年度1Qガイダンスは、予想173億7000万ドルに対して、160億ドルが提示されました。
2019年度通期ガイダンスは、予想732億5000万ドルに対して、715億ドルが提示されました。
- EPS
2018年度4Qの結果は、予想1.22ドルに対して、1.28ドルでした。
2018年度通期の結果は、予想4.53ドルに対して、4.58ドルでした。
2019年度1Qガイダンスは、予想1.01ドルに対して、0.87ドルが提示されました。
2019年度通期ガイダンスは、予想4.55ドルに対して、4.6ドルが提示されました。
インテル(INTC):4Q決算の前期比・前年同期比は×
下表をご覧ください。売上高とEPSの前期比・前年同期比をまとめたものです。
4Q売上高は、前期比・前年同期比ともに成長率が減速していることが分かります。
インテル(INTC):4Q決算を受けて株価急落×
下図をご覧ください。インテルの直近株価推移を示したチャートです。
4Q実績と1Qガイダンスが市場予想を下回ったことによって投資家に失望が広がり、25日の株価は-5.5%安の47.04ドルと急落しました。
チャートを見ると75日移動平均線付近まで一気に下げていますので、今後は年末につけた43.55ドルの下値を試す展開が想定されます。
インテル(INTC):4Q決算でデータセンター事業の成長率が急速に減退×
インテルの事業別内訳
2018年4Q時点の事業別内訳を確認してみます。下図をご覧ください。
CCGとDCGの2つの事業で売上高全体の85%を占めている事業構成になっていますので、これらの事業の成長鈍化はインテル全体の売上高鈍化に直結することが分かります。
メモ
各略称の意味。CCGはPC向けクライアント・コンピューティング事業、DCGはデータセンター事業、IOTGはIoT事業、NSGは不揮発性メモリ事業、PSGはプログラマブルソリューション事業のことです。
インテルの事業別成長率
次に、下図をご覧ください。2018年4Q売上高における事業別成長率を示しています。
DCGは、2018年度通期の成長率が前年+20.6%だったのに対して、4Qの成長率は+8.7%と大幅に減退している状態です。これまでDCGがインテルの業績を牽引してきましたので、DCGの業績悪化は投資家にとってインパクトが大きいものでした。
このDCGの減退要因について、ボブ・スワンCFOは「大手テクノロジー企業の需要減退」と「中国需要の軟化」であると説明したのです。
そもそも大手テクノロジー企業の需要減退の原因の一つとして中国需要の減退がありますので、米中貿易摩擦で中国経済が減速していることが大きな影響を及ぼしているように思われます。
インテル(INTC):2019年、中国エリアの業績はどの程度悪化するのか?
下図をご覧ください。2018年度の地域別売上高の公開資料は見当たりませんでしたので、2017年までの資料で作成しています。
インテルの売上高に占める中国エリアの割合は23.6%と大きいものになっています。
今後、中国エリアの成長率が鈍化もしくは減少するということですけれど、まだどの程度減速するのか分かりません。
3月までに米中貿易交渉で米国が満足のいく結果が得られなければ、中国からの輸入品2000億円に追加関税を課される見込みのため、更なる中国経済の悪化に伴って、更なる中国エリアの業績悪化は十分可能性があるでしょう。
なお、以下の記事で昨年11月に半導体株のエヌビディアが暴落した際、既に半導体の中国エリア業績低迷を推測していました。今後、半導体銘柄は中国エリアの業績不振が顕在化していくと思います。
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直近では中国エリアの業績低迷は避けることのできない事態ですけれど、中国以外の地域は貿易戦争の影響を大きく受けることはないと思われます。また、貿易摩擦の解消とともに中国エリアの需要も回復していく可能性が考えられます。
何れにしても外部要因による株価下落は長期的に見れば回復していくものになりますので、半導体の未来に対して過度に悲観する必要はないでしょう。
【過去10年】純利益・営業キャッシュフロー・売上高は良好○
下図は2008年度~2017年度の売上高・営業キャッシュフロー・純利益を示しています。
売上高と営業キャッシュフローは上昇傾向、純利益はやや低下傾向ですけれど十分でしょう。継続して安定成長を果たしていることが分かります。
メモ
営業キャッシュフローとは、売上高 から原材料費などのコストを差し引いた「現金収支」のことです。
下図をご覧ください。
35%以上もの高水準を維持しており非常に儲かっています。お手本のようなビジネスモデルを構築している証左でしょう。
メモ
営業キャッシュフロー・マージンとは、売上高÷営業キャッシュフローの式で求められ、要するにどれだけ儲かっているかを示しています。
今後の予想株価と投資判断について
インテルの予想株価
下図をご覧ください。過去10年間の財務状況から今後10年間の予想株価を算出したものです。
平均値をベースに、その時々の状況に応じて上限値〜下限値の範囲内を上下しながら、将来価値に向かって株価は上がっていくことが見込まれます。
なお、2018年度の詳細な財務データが公開されていないため、2017年度までのデータをもとに算出していますが、2018年度の予想47ドルに対して、2018/12/31株価は46.93ドルでしたので、この予想株価の信頼性が分かると思います。
予想株価は、世界一の投資家ウォーレン・バフェットの算出方法に基づいて計算しています。算出方法は以下の書籍をどうぞ。
>>「バフェットの銘柄選択術」メアリー・バフェット、デビッドクラーク著
インテルの投資判断について
以下の理由から、インテルに対する投資判断は「持ち株はホールド」「段階的に買い増しても良い」と考えます。
- 米中貿易摩擦によって、もう一段の中国エリア業績悪化は覚悟しなければならない
- しかし、中国エリアの業績低迷は米中貿易摩擦という外部要因であること
- 何れ遠くない将来に米中貿易摩擦の解消に伴って中国エリアの業績は回復していくであろうこと
- 過去の業績からビジネスモデルが強固であること
- 今後10年間で220%前後のパフォーマンスが期待されること
おしまいに
当記事の内容は僕個人の分析によるものであり、データの正確性・分析結果・将来予測などを保証するものではありません。あくまで投資は自己の判断と責任において行っていただくようお願いいたします。
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